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養殖されたトラウトが大量に放流され、ルアーやフライで手軽に魚の引きを楽しめる管理釣り場(エリアトラウト)。
魚の数釣りが楽しめる一方、レギュレーションが厳しく規定され、魚の保護や釣り人の安全、一番は公平な条件のもと釣り人の技術を競って楽しめるというのが特徴です。
そのレギュレーションの一つとして、「赤針禁止」が規定されている釣り場が非常に多くあります。
一般にはフックはカエシのないバーブレスフックを使いますが、針に赤い色が付けられた赤針もNGとされる釣り場が多く、針の色に関して規定されているのは興味深い。
禁止の理由はずばり釣れるからであり、言い換えれば「釣れすぎてしまって釣趣を損ねるので禁止されている」とも捉えられる規定です。
こうした理由から赤い針はあまり売られていないのですが、実際に使ったら本当に釣れるのか?ということで、使用そのものが禁止されていない釣り場で実践をしてみることにしました。
赤針はよく釣れた!禁止される理由もわかる
釣行したのは、中部地区最大の管理釣り場であるサンクチュアリ。
レギュレーションでは、「赤針のみの使用は禁止、ルアーへの装着はOK」というようになっています。
日が差して気温が上がった午後1時ごろににわかに魚の活性が上がりました。
小型のニジマスが群れを成して表層ライズ!ここは赤針の検証してみるチャンスとばかりに、もともと赤針がセットされていたルアー(サンプルはリセントXスティック)をキャスト。
表層を滑らせるように引いてくると、多数のニジマスが追いかけてきてガンガンアタックしてきてくれます。
ここで少し違和感を感じたのです。どうもルアーそのものではない、ケツに付いた赤い針に目の焦点があっているように見える。
魚の目の焦点がどこにあってるか正確には分かりませんが、ルアーそのものではなく赤いフック目がけてアタックをしてくる。
ニジマスはルアーを後ろから追ってきてるので、お尻についているフック部分に噛みついてるのかな?と思いましたが、どうもルアーそのものには噛んでいなく、フックにだけ反応しているように見えました。
赤い色が剥げると食いが落ちてきてしまった
次第に魚からの反応が落ちますが、フックを見ると赤い塗料が擦り切れて地金がむき出しになっていました。
そこで赤針を新しく交換してキャストすると、再び入れ食いに突入したのです。これはほぼ間違いなく赤い色に何かしらの反応をしている。
レギュレーションで「赤針のみの使用は禁止」とする釣り場が多いのは、赤針を使ったほうが釣れすぎてしまうのでしょう。
さながらテンカラ釣りのように、竿先で赤針を水面に泳がせているだけで釣れてしまう可能性が高い。
事実この日食いが立った状況では、ルアーの半分が水面から出ている状態でも、赤針目がけて食ってきたのです。
フックを黒色に変えると、食いは極端に落ちてしまい、アクションを駆使したり底層を狙うなどしなければ口を使ってくれませんでした。
このことから管理釣り場のニジマスは赤針で非常によく釣れるということが経験できました。
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なぜ赤い色に反応をするのか?
赤いフックに関しては色々な針で見られます。
- カサゴ・アイナメ用のブラクリ
- カレイ釣り用の赤い針
- 大型根魚向けのムツ・クエ用など
赤い色が使われる理由には、水中で目立つ、捕食対象(ミミズ、赤虫、カニ)が赤い色をしているため興味を示すなど。
魚は想像以上に色々な色を認識していると研究で解明されつつありますが、もともとは主に漁師の経験から、よく魚が釣れる色として長年使われてきたものです。
では、管理釣り場のニジマスは何をもって反応をしていると考えればよいのでしょうか?
赤に反応するなら、ルアーそのものが真っ赤であれば爆釣するのか?というのはまた違ってきます。赤針は禁止でも赤いルアーは禁止ではなく、さらに赤けりゃ釣れるというものではない。
管理釣り場・渓流に関しては、トラウトの捕食対象となるような鮮やかな赤い色をした生物はあまりおらず、いても蚊の幼虫である赤虫くらい。また違った見え方をしているのではと思います。
見解の一つに、赤というのは自然界で分かりやすいものでは血の色です。魚類の血は赤色をしており、弱って傷ついた魚が血を流して泳いでいるように見えているという考え方もあります。
管理釣り場のトラウトは肉食性のフィッシュイーター。昆虫類も食べますが、小魚を追いかけては捕食します。
弱っている魚であれば逃げられずに捕食できる可能性が高いため、優先的に狙って捕食をしにいっているという可能性が十分考えられます。
別の日に試したときは赤針の優位性を感じなかった
別の日に釣行をした際にも、同じルアーで赤針を使った仕掛けでの釣りを検証しました。
今度も釣れることは釣れるのですが、魚の反応が明確に違いました。
赤針の有る無しは関係なく、今度はルアーそのものへのアタックが中心となっていました。
釣り方は同じでもフック付近へ食いつくよりも、ルアーの前方や胴体に噛みついている。針にかかるときも、あごの外側などにスレてかかることが多いなど赤針そのものに食いついてきているとは言い難い状況でした。
必ずしも赤針さえ持っていけば爆釣!とは限らないのが面白いところですね。
人工的な池とはいえ、自然発生する昆虫類の種類などで捕食パターンが変わることはあります。
ニジマスが何をエサとして意識してるかでルアーの色や形状を変えるのが良いとされますが、魚が赤虫など小さな幼虫を意識してるときには強力な武器になるのでしょう。
また、針を針と思わせない効果は常時ある可能性があります。武骨な黒い針を警戒する魚にとっては、針っぽく見せずエサに浮き出た血管のように見えてる可能性はおおいにあります。
このことから、いつも赤針で釣れるというものではないが、スイッチが入った時には興ざめするほど簡単に釣れてしまう…というように思いました。
使えるところであれば、赤針は持っておいたほうが釣果にはつながるのは間違いなさそうです。
赤針はとにかく釣るのが目的であれば持っていくと良い
管理釣り場の楽しみは人によって違います。魚との知恵比べを楽しむ技能派の人もいれば、手軽に釣って魚の引きを楽しみたい、釣って魚を食べたい人と色々です。
赤針は技術的な面では面白みに欠ける部分こそありますが、どうしても釣れない…というのであれば、ここぞという時に使ってみるのは良いかもしれません。
あくまでレギュレーションの範囲内で。釣り場によって赤針の規定は異なりますから、よく確認して使ってみることをおすすめします。
・あわせて読みたい、管理釣り場と色に関する研究論文