釣りの初心者の方は道具の良し悪しがわからないので、とにかく安い道具を揃えてしまいがちです。安い道具でもいいものはあるのですが、ものによっては致命的な差が出る場合があります。その中でも、誰もが使用するリールについては、ワゴンで山積みされてる数千円の激安リールから、丁寧にショーケースに入れられた数万円の高価なリールまでありますよね。
今回はリールの値段による決定的な高い安いの違いを解説し、これから釣りする上で何を基準に選ぶのが良いのかを見て行きましょう。
リールの命「回転性能」による値段の違い
釣りのリールで求められる一番の性能は、滑らかでストレスの無い回転性能。まずはこの回転性能が値段の違いに大きく反映されています。
リールの回転を司るのが「ベアリング」というパーツ。このパーツが多いか少ないかで価格に開きがあるということ。精密機器であるベアリングは組み込むことで製造コストが増し、高いリールほど様々な部位にベアリングが搭載されていきます。安いリールですとベアリングではなくプラスチックのカラーと言うリングで代用しており、問題なく回るのですが滑らかとは言いがたいです。
抵抗の無い安定した巻き心地や、スムーズなやり取りするためのドラグ、ハンドルの回転、ライントラブルを防ぐローラーの回転など、高価なリールほど至る部分の回転が最適化されています。このベアリングを見ていくことで性能のよしあしと共に、高い安いが変わってくるのです。
リールの素材による「重量」の違い
安いリールは金属の中でも鉄を使った部位が多く、とにかく重たいです。手元の感度を求められない釣り(サビキ釣りやカゴ釣り)であれば重たくても構いませんが、繊細なルアーを使用するルアー釣りや、仕掛けの軽いフカセ釣りでは、感度の落ちる重たいリールの使用は絶対にNGです。それと、長時間の釣りでの使用も、早く疲れてしまって集中力がなくなるのでよくありません。
高いリールともなれば、軽くて強度のあるアルミ合金やマグネシウム・カーボン素材などを使っていることからコストが高くなります。その分素材の値段や成型コストが変わってくるため、高価な素材を使用した強くて軽いリールほど値段が変わってくるとこと。常に竿を持っている必要のあるルアー釣りでは、一日竿を振っても疲れない軽いリールは頼もしい相棒となります。
使われている素材による「強度」の違い
先ほどは重量について書きましたが、それに伴うリールの強度自体も変わってきます。高価なリールほど各部のパーツがミリ単位で調整されているため、ガタが出にくくて長く使えると言うメリットもあります。
安いリールは部品の点数が少ないし、一つ一つのパーツの素材や仕上がりもよくありません。機械的に大量生産されてパーツを寄せ集めて仕上げたリールだから、ガタが出やすくすぐに壊れてしまいます。ハンドルなどの可動部分は、ちょっと手荒く扱うとすぐに折れたり不具合が出るので、また買い直すことにも…。その点、ある程度の値段のリールであれば、強度の心配はほとんどありません。
強度バランスの違いは、そのままメンテナンス性能や耐久性に関わってきます。海と言うステージでは塩水を被ることによる「塩ガミ」トラブルや錆による腐食など淡水とは違いハードな環境での使用を余儀なくされます。高価なリールほどこの手のトラブルに対して対策されており、メンテナンスフリーを謳うようなものが増えてきます。結果として少しこだわっておいた方が、長くトラブル無く使えるともいえます。
ではどのリールを買えばよいか?
回転性能・重量・強度の3つの視点からリールの性能による値段の違いを見てきましたが、最終的に選ぶ基準となる指標を見て行きます。
まずは初心者がリールを初めて購入する時、できれば守って欲しいことを以下に述べます。
◯メーカーはシマノか、ダイワの二択
日本を代表する総合釣具メーカーのシマノか、ダイワのどちらかのリールを選びましょう。もし壊れてもパーツが揃っているし、業界トップ級のアフターサービスも魅力です。
最近は両者の性能の違いはほとんどなくなってるイメージ。作りや素材などは両者追従しており、価格帯もそれぞれ同価格帯のライバル機種を添えて凌ぎを削っています。私はダイワリールを長年使っていますが、シマノ派の友人からすれば回転性能はシマノのほうが滑らかとのこと。個人的にはしっかりギアが噛み合うのを感じるダイワの剛健さと、ヌルヌル回るシマノリールの不思議な回転どちらも捨てがたいと思います。ここは趣味の道具として、実際にお店で触ってみてフィーリングが合うほうを選ぶと良いと思います。
◯値段と目的で選んでみる
価格帯については、釣り方によって変わります。手元の感度を求められない釣りであれば、5000円クラスからでも構いません。とりあえずサビキ釣りとかちょい投げでたまに釣りをするくらいなら、1万円以下のエントリーモデルが最適。このクラスでもワゴンリールに比べれば性能が遥かに違ってきます。安易に激安リールに手を出すことはおすすめできません。
手元の感度を求められるアジングなどのソルトルアーや、長時間のハードなロッドワークを強いられるエギングは1万円から「専用モデル」に手が届くようになります。エントリーとしてはこの上なく、軽くて使いやすいリールになってきますからしっかり釣りを楽しみたいのであれば迷わずこのクラスが良いです。そのほかの釣りでも1万円クラスであればアフターパーツも豊富で、カスタマイズなどもできるようになりますので長く楽しめます。
これ以上となると、先に述べた3つの項目によって大きく値段が変わってきますね。2万円超えるクラスになれば素材にこだわり軽量化したリールが増えてきます。3万円クラスともなればベアリングなどにもこだわった、ちょっと憧れのモデルになってきますので予算とこだわり次第です。
番外として磯釣りなどをするなら、繊細な軽い仕掛けを操作するためと、独特のレバーブレーキを必要とするフカセ釣り用のレバーブレーキリールとなってきます。このクラスは海水を被りやすく、メンテナンス性や耐久性の面から25000円からが、実用的なリールの価格の最低ラインだと考えます。
以上、単ではありますが、安いリールと高いリールについて解説をしました。お金に余裕があれば、フラッグシップモデルを購入するのがよいですがとても高い趣味の世界です。