9月も後半から10月にもなると、気候も一気に秋らしくなって肌寒くなります。温水のようだった海水温も下がりだし、海の中も徐々に秋の海へと様変わりします。
しかし魚たちの活性は相変わらず高く、来たる冬に備えてエサを食いだめするため海釣りにおいて非常に面白い季節。釣り自体もしやすい気候なので、秋はターゲットを絞らずに色々な魚を五目釣りで欲張ってみるのもいいのです。
今回は、沿岸から手漕ぎボートで繰り出した釣行記をめとめてみます。
静かな湾や海水浴場は秋のボート釣りの独壇場
釣行したのは、福井県の常神半島にある神子漁港。今回は南風が強い予報だったので風裏となる場所を選びました。静かな湾でボートが出しやすく、周辺の漁港では休日ともなればボート釣りの人が押し寄せます。
この時期にもなれば海水浴場も人はいないので、釣り人の独壇場としてのんびりした釣りをすることができます。
周辺は地磯が広がり、海底は砂地と岩場が混じったポイント。少し沖に出ると水深が一気に深くなるため、カワハギやマダイも良型が岸から狙える面白い場所です。
まずはボートでエギを投げてアオリイカ狙い
出船朝一番は、この時期実績の高いアオリイカ狙いでエギを投げてみます。やっぱこの時期は海を見ればエギを投げたくなってしまう性分です。
水深が15メートルほどもあるので、シンカーを付けて早めに沈めて底狙いに絞ってみました。
じっくり待って着底後に軽く誘いを入れてチマチマ攻めていると、ズシッとした感触とともにアオリイカが上がってきました。
幸先良いスタートに気をよくするも、後が続かずに単発で終わり。水深が深く一投一投に時間がかかるため、ここはすっぱり諦めて小物釣りを楽しむことにしました。
カワハギを専用の仕掛けでゲット
もともとの目的は、肝が美味しいカワハギの調査。どうやら釣れ始めているという話を聞いたので、そろそろいいサイズが沿岸から釣れないかと狙いに来たのです。
用意したエサは、
- 真空パックのサビキ釣り用アミエビ
- ボイルのオキアミパック
- たまたま見つけた人口エサ
アミエビで魚を寄せつつ、エサ持ちの良いボイルオキアミで食わせるという作戦です。人口エサは保険用。
中古で3000円で買った船釣用の短めの竿とリールに、一応カワハギ専用のキラキラした仕掛けを付けてみました。
ハリがすごく特徴的で、カワハギの細い口に上手く掛かるように設計されています。
カワハギは食わせるまでが大変。エサ取り名人の名は伊達ではなく、神経研ぎ澄ませていてもピクリとも変化を見せずにエサだけ獲っていきます。ここは小心者なので、専用の仕掛けに賭けてみます。
あとはカワハギが寄りやすいポイントとして、できるだけ海底が岩礁帯になってる場所を選定して仕掛けを沈めていきます。
適度に仕掛けを踊らせて誘っていると、急にフッとテンションが抜けたように食いあげるアタリがあり、その後にビンビンと暴れる感覚が伝わってきました。これはカワハギ特有の食い込みと見て慎重に上げてくると、そこそこのサイズのカワハギが釣れてきました。
その後エサ取りに苦戦しつつも、オキアミ餌にはアオハタも食いついてきました。
カワハギの専用仕掛けにはキラキラした飾りがついてるものが多いのですが、これらが疑似餌のように働いて色々な魚を寄せる効果があります。
専用の仕掛けでなくても釣れるのですが、何としてでも釣ってやろうという時には買っていくのもいいと思いますね。
エサ切れに備えて買った手軽な人口エサ「ワゲット」が便利
ここで役に立ったのが、ビン詰めにされたワゲット。ハリにさすだけの手軽さで、保存も効くし手も汚れない。
小さいしあまり釣れないのではと思っていましたが、オキアミと比べて食いに差は感じませんでした。カワハギをはじめ、ベラや小メジナなども果敢に食ってきます。
調子よく釣れてるのに残念ながらエサ切れ・・・というときにもうひと踏ん張りする保険用のエサとしては使えますね。
チャリコやサンバソウもサイズアップしてきている
カワハギをメインに狙うにしても、エサ取りの小魚がたくさんいるので思うような釣りはさせてくれません。
今回はコマセ用のアミエビも併用したため、色々な魚を寄せてしまいました。お馴染みのベラやスズメダイなどの小物が連発してしまいます。
そんな中で竿を絞りこんで楽しませてくれたのが、真鯛の幼魚(チャリコ)や石鯛の幼魚(サンバソウ)。
子供とはいえ鯛なので引きが強く、魚釣ってる感は十分に感じられます。
もうあと5センチも大きければ塩焼には良いサイズですが、秋の深まりとともにサイズアップしてくるので今後に期待!小物とはいえ侮れないターゲットになります。
ボート釣りはポイントで粘るか移動して良い場所を探すか
今回はボート釣りでしたが、ボートで出れば何でも釣れるほど釣りは甘くない。ポイントを絞るのに苦労もしました。
堤防はそれ自体が魚を寄せるストラクチャーになっていますが、ボートでは魚が集まる場所を自分で探さないといけないのがデメリット。海底や潮の流れに変化がない場所では、エサ取りすら釣れないということもあります。
今回はあちこち移動を繰り返しましたが、仕掛け投入と同時にガンガン釣れる場所と、30分経ってもオキアミすらかじられていないという極端な状況でした。やはり海は広しと言えど魚が集まる場所には何かしら条件があります。いいポイントを知ってるか、ソナーなどで探りつつ移動するか、闇雲に動いても難しい釣りだなと思いました。
釣れ続けているのであれば、同じ場所で粘った方がいい場合もあります。ボートという機動力を生かして、あちこち移動するのもいいのですが、手漕ぎだと体力との相談になりますからね。
堤防や沿岸ボートで釣れるターゲットまとめ
今回は小物中心でしたが、秋の海を楽しみながら美味しい魚をゲットできて満足です。
今回はまさにこの時期の定番となる魚が釣れましたが、場所によってはさらに釣り物も増えます。
- カワハギ・・・堤防でも20センチ越えが上がる
- アジ、サバ・・・サイズアップするが投げサビキなどで沖の深みを狙う
- 鯛類の子供・・・外道とはいえ20センチ近いサイズも数釣れる
- シーバス・・・ルアーやブッ込み釣り、電気ウキ釣りなど多彩に狙える
- アオリイカ・・・もはやエギングは秋の堤防の風物詩
- マダコ・・・堤防際や岩礁帯をタコエギで躍らせて釣る
サビキ釣りでアジを釣りつつ、寄ってきたカワハギを仕留めたり、シーバスの夜釣りしながらブッ込み釣りで鯛を狙ったり、エギングと合わせてタコも狙ってみるなど、似た釣りを組み合わせることで荷物を減らしつつ多彩な釣りが楽しめます。
貪欲にたくさんの釣果を望むのもいいですが、大自然の中で釣りを楽しむというのは、現代の騒々しい時間の流れを忘れさせてくれる最高の癒しです。