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チヌ(クロダイ)やグレを釣るための釣法であるウキフカセ釣り。名前の通りウキの使い方次第で釣り方が大きく変わるほど重要な釣り具です。
しかし、最も分かりづらいのがウキであり、これから始める人にはとっつきにくい部分もあると思います。
ここではウキフカセ釣りで一般的に使う円錐ウキ(ドングリウキ)について、役割と基本的な使い方、ウキを揃えていくにあたっての選び方を解説します。
円錐ウキに求められる5つの基本的な役割
そもそもウキフカセ釣りはなぜウキを使うのか?本来魚に違和感なくエサを食わせることを考えれば、余計なものは極力ないのが理想です。針と糸、シンプルであるほど食いも良く、警戒心の強い魚を食わせられます。※実際に完全フカセという釣り針と糸のみで釣る手法があります。
しかし、現実に軽すぎる仕掛けは非常に釣りにくいです。エサが魚のいる場所に届かない、仕掛けが操作しにくいもの。そこで仕掛けにウキを使うことで、以下のような役割を持たせたのがウキフカセ釣りです。
- 魚のアタリを伝える
- ウキの重みで軽い仕掛けを遠くへ飛ばす
- エサを魚が食うタナへと届ける
- エサを一定のタナにキープして漂わせる
- ウキを支点にして仕掛けを操作する
1.ウキの基本的役割は魚のアタリを目に伝える
ウキで一番分かりやすいのが魚が食ったときのアタリを視覚的に伝えること。円錐ウキに関しては、上から見下ろす釣り場でウキを判別しやすく、堤防釣りでも分かりやすい。
ウキが大きくなるほど視認性は良くなり遠投したり遠くまで仕掛けを流せますが、感度が下がってアタリが分かりづらくなるのでギリギリのサイズを選定します。
2.ウキがあると仕掛けが遠くまで飛ばせる
ウキそのものに自重があるため、仕掛けを狙ったポイントへ投下しやすくなるのも大きなメリット。向かい風で軽い仕掛けが流されてしまうような状況でも、自重の重いウキを使うことで釣りができるようになります。
仕掛けを飛ばすという点では、棒ウキに比べて空気抵抗が少ないため、軽い操作で遠くまで飛べすことができるのです。
3.ウキの浮力でオモリを付け魚がいるタナへ仕掛けを届ける
ウキには浮力がありますので、浮力分のオモリを装着することで仕掛けを沈められます。魚がいるタナが深い場合は、魚の口元にエサを届けるために水深に合った重りを装着できます。
4.ウキの浮力でエサを一定のタナにキープさせる
ウキの浮力を活かすことで、一定のタナをキープできるのもウキの重要な役割。コマセとも同調させて魚がいる層に仕掛けを流すことで、自然にエサが流れる様子を演出できます。
仕掛けを何度も投入する時にも設定したタナにエサが届くため、2匹目、3匹目と狙うときに効率よく釣りをすることができます。
5.ウキを支点に仕掛け操作してポイントを外さず攻める
ウキは海面に浮かぶことで支点となるため、仕掛けの位置を動かさずに「誘い」を入れたり、仕掛けの位置を微調整できるメリットもあります。
ウキを基準に仕掛けは流れていきますので、仕掛けの位置を把握したり水中での仕掛けの姿勢を予測する時にもウキがあると分かりやすいのです。
こうしたウキから得られる情報を最大限に生かして、釣りを立体的に組み立てていくことがウキフカセ釣りの最大の魅力です。
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ウキのサイズ・色・形状から見る違いと選び方
ウキが面白いのは、同じ浮力表示であっても多種多様な形状をしたものがあること。それぞれに特徴があり、想定される海の状況に対応できるようにチューニングされています。ウキの役割を知ったうえで、変化する海況に対応できるウキを用意していくのです。
【浮力号数】オモリの負荷は狙うタナで使い分ける
ウキには必ず浮力を示す号数が印字されています。G2、B、2Bなどの数字は、ガン玉の重さに対応した浮力であり、どれだけのガン玉のオモリ荷重で浮いていられるかを示しています。
浮力に関する考え方の基本は、狙うタナの深さに合わせて使用するオモリを決め、その重さに対応した浮力のウキを選定すること。これが基本となり、後述する視認性・感度・形状などの違いを取り入れて当日のベストを導いていくのです。
0 | 浅いタナ~深場まで |
G2 | 3メートルほどの浅いタナ |
B | 5メートルほどのタナ |
2B | 7メートルほどのやや深いタナ |
5B | 10メートル以上の深いタナ |
※数値は目安で当日の潮の流れや風の影響などでも変えていきます。
海には潮の流れがありますので、深い場所を狙うときには重いオモリを使わないと狙ったタナにエサをキープするのが難しくなります。浮力の小さなウキに大きな重りを付ければウキが沈んでしまいますから、狙ったタナの深さに仕掛けを送り込めるオモリの号数から最も小さいウキを選んでいくのです。
浅いタナを狙うのに大きすぎる浮力では意味がありません。重すぎるオモリはエサの動きを不自然にして魚に警戒させてしまいます。現場の水深と、魚がどのタナを泳いでいそうか、頭の中でイメージをしつつウキを選んでいきます。
※一般にチヌ(クロダイ)は底狙いで、底から順にタナを探っていきます。一方グレはコマセにつられて浮き上がってくる傾向にあるため、浅い所から順に深くしていくなど魚の性質に合わせて狙うタナとウキを順次変更していくのがウキフカセ釣りです。
【視認性と感度の違い】大きなサイズと小さなサイズの使い分け
同じ浮力・形状で大きさが異なるウキの場合。まず考えるのは視認性の違いです。近く(堤防足元・磯の瀬際)を攻めるのか、遠投したり遠くまで潮に乗せて流すのかという使い分けで大きさを選択します。当然大きいほうが視認性は良くなり遠くのアタリも分かりやすくなります。
一方で大きければ抵抗も増えるため、アタリの感度としては悪くなります。闇雲に大きなウキを使っても感度が悪くて食い込みが浅くなることもあるのです。小さいと感度は良くなりますが、波やうねりが強いとウキが飲まれてしまって釣りになりません。エサが魚のいるタナに届く状況を作れるのが前提で、その中で感度が高めていくようにサイズをチョイスしていきます。
極力小さく抵抗の少ないウキを使うほど魚の食いも自然になります。フカセという名の通り、釣り場の海況に合わせてできる限り小さく軽いウキを使うことが理想的なウキ選びとなるのです。
堤防釣りではあまり遠投しないので、基本的サイズで事足ります。プラスα感度重視の極小サイズをもっておくと、穏やかな釣り場で武器となります。
【潮乗りの違い】ウキの形状の違いで使い分ける
円錐型のウキと言っても形が微妙に違うものが売られています。
- オーソドックスな楕円型の円錐ウキ
- ドングリ型のスマートなウキ
- 三角ヘッドのトウガラシ系のウキ
- ずんぐりした下ぶくれ型のウキ
他にも種類は分かれますが、これら形状の違いは「感度の違い」に加え「潮の乗りやすさ」という違いも持っています。
よくわからない場合には、オーソドックスなドングリ型・楕円型の円錐ウキが基本であり、感度・潮乗りともにもっとも扱いやすいものとなっています。まずはこの形状を揃えて、実際の釣り場で使ってみます。
三角ヘッドなどは地磯などでサラシが強く流れ込むようなときに使っています。急な流れに対しても姿勢が崩れず、魚の引きなのか海流かが分かりやすいのがこの形状。
ここで、最近よく見るのがずんぐりとした下ぶくれ型のウキ。このウキは私も良く使うのですが、いかにも抵抗が高くて感度は悪いように見えます。一見潮乗り重視の形状をしてますが、力学的に見ると下ぶくれ型のウキのほうが感度は高くなるということ。参考:ウキの流体力学的研究
流体力学とか専門すぎますが、よくわからずに下膨れウキを買って使っていました。その上で最も使いやすいと体感的にも感じているのは、ひとえに感度の良さだったのかなぁと今さらながら思います。こうした特殊な形状のウキも、慣れたらどんどん使ってみてお気に入りを増やしていくのもウキ釣りの楽しみです。
【オレンジ?黄色?】2色のカラーの使い分け
ウキには大きく分けてオレンジ色とイエローの2色があります。オレンジが多数を占めますが、イエローは濁りが強いときや曇りの日でも視認しやすいカラーとされています。実際港湾部の濁った場所では黄色が映えて沈んだウキを追いやすいです。
また、ウキフカセ釣りの外道であるボラの攻撃を避けられるのがイエロー。なぜかボラはオレンジウキだと果敢にタックルしてきてウキに変な挙動が出ます。イエローだと幾分和らぐので、ボラが大量に湧いたときなどはイエローに変更するといい場合もあるのです。
よく使うサイズのウキであれば、イエローカラーも揃えておくといいです。
ウキの余浮力を把握して変化する海況に対応する
ウキには表示された浮力意外に余浮力というものがあります。例えば2Bのウキに2Bのガン玉をセットすればウキは浮いていますが、さらにガン玉を追加してもすぐには沈みません。この基準浮力に加えてどこまでの重さで浮いていられるかが余浮力になります。
繊細に作られた高価なウキほど余浮力が少なくなっていてシビアな調整が求められますが、激安品などは結構ガバガバでBのウキなのに3B程度まで沈まないこともあります。
当然余浮力が少ないほうが魚がくわえたときの抵抗も減るため、できる限り余浮力の小さなウキこそ優れているという考え方ができます。
余浮力を活かすことで悪条件にも対応できる
余浮力を把握するということは、以下のような状況でも役立ちます。
- 表層の波風が強く、ウキを沈め気味にして感度を高めたいとき
- 海底の潮流れが速く、浮いた仕掛けをガン玉追加で整えたいとき
風が強い時はウキを沈め気味にすることで、波風の影響を抑えて余分な動きが無くなります。ギリギリ海面直下に浮くようにガン玉を追加していく必要があるので、余浮力がどこまであるかを知らないと調整が難しいのです。
もう一つ、潮の流れは常に一定ではありません。表層は流れてないのに、海底付近は速いという状況もあります。こうなると仕掛けが浮いてしまってタナを外すため、ガン玉で沈めてあげる必要も出てきます。余浮力分のガン玉を追加でハリスに打つことで、ウキを浮かせつつも仕掛けの姿勢を整えることができるのです。
余浮力はウキによっても個体差があります。現地で確認するのもいいですが、お風呂などでウキを浮かべてはおおよその余浮力を試してみるのもいいです。潮の流れが再現できないですが、沈む・沈まないガン玉の範囲を知っておくだけでも釣り場の変化に対応できるようになります。
ウキフカセ釣りで使う円錐ウキの理論は進化し続ける
ここではウキフカセ釣りで使う円錐型のウキについて、基本的な考え方についてまとめてきました。
日夜プロによって研究が重ねられているジャンルでもあり、数年前と今では販売されているウキのトレンドも変化しているのが分かります。より釣りやすく、また新しい釣法に対応できるようにウキも形を変えていくものです。
基本的な考え方は変わらないため、何パターンかのウキを使い分けてみて、自分の釣りが組み立てやすいウキを使っていくのが最も釣果に繋がるでしょう。
引き続きウキに関する理論には造形を深めつつ、実釣を重ねていきたいと思います。