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海で釣った魚を食べるのは釣り人の楽しみの一つです。私も新鮮な魚を食すのが楽しみであり、そのために海釣りをしているといっても過言ではありません。
しかし、気を付けないといけないのは鮮度管理の不備による食中毒。特に日本沿岸の海中には腸炎ビブリオ菌が生息しており、釣った魚に付着していることがあるため注意が必要です。
腸炎ビブリオ菌を摂取すると、8時間から24時間の潜伏期間ののち、下痢・腹痛・嘔吐・発熱などを引き起こす典型的な食中毒症状になります。
特に海水温が上昇する6月以降は腸炎ビブリオ菌が活発化します。海水温15℃以上になるとより注意が必要とされています。
堤防でも、磯でも、釣り堀でも、沖釣りでも海で釣った魚を生で食べる際には気を付けなければいけないことがいくつかあります。
食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~ 生鮮魚介類における腸炎ビブリオ ~
釣った魚の腸炎ビブリオ食中毒を防ぐためにできること
- 魚介類は、調理前に流水(水道水)で良く洗って菌を洗い流すこと。
- 魚介類に使った調理器具類は良く洗浄・消毒して二次汚染を防ぐこと。
- 魚介類を調理したままのまな板で、野菜などを切らない(まな板を使い分ける)こと。
- 夏季の魚介類の生食は十分注意し、わずかな時間でも冷蔵庫でできれば4℃以下に保存すること。
(腸炎ビブリオは低温では増殖できない。また、低温で腸炎ビブリオの増殖は抑えられるものの、凍結しても短期間では死滅しない。)- 冷凍食品を解凍する際は専用の解凍庫や冷蔵庫内で行なうこと。
- 加熱調理する場合は中心部まで充分に加熱すること(60℃、10分以上)
こちらは一般的に釣った魚以外にも、スーパーで買った魚の管理においても役立つ情報です。
きっちり管理された魚介類の流通ルートを通っても危険はゼロではないので、自分で釣った魚を食べるときにはより注意が必要です。
海で釣ってきた魚を食べるときに、できる限り腸炎ビブリオのリスクを下げるためには以下の5つがポイントになります。
ポイント1:腸炎ビブリオは真水の中では生きられない
腸炎ビブリオ菌は真水で生きられないという菌なので、水道水で良く洗うことで菌を洗い流すことができます。
刺身として食べる際も、念のためサッと水道水で洗い流すか、冷水で締める「洗い」として食べることでリスクを減らすことができます。
ポイント2:4℃以下では増殖しない
釣り場から持ち帰るときに注意したいのが、クーラーボックスの冷気をしっかり確保すること。
腸炎ビブリオは4℃以下では分裂増殖しないため、氷は多めにいれてしっかり冷やして持ち帰ります。
ポイント3:調理時はこまめに冷蔵庫に移す
たくさん魚を釣って捌く時に、流し台に大量に魚を並べて順に料理していくのはやめましょう。
腸炎ビブリオは増殖スピードが速い特徴があるため、ちょっとの時間で大量に発生している可能性があります。
魚を触るときには捌いた身に触れないように注意するのと、菌が増えるのを防ぐために冷蔵庫やクーラーボックスで保冷しつつ捌いていくようにします。
ポイント4:魚を捌いたまな板や包丁はすぐに殺菌!
魚を捌いたまな板や包丁は、捌き終わったらよく洗って熱湯で殺菌しておきます。ウロコが飛んだりぬめりなどがシンクに付いていることもあるので注意。
過去の食中毒の事例で、調理器具に付いた腸炎ビブリオが漬物に付着・増殖(塩分なので生息できた)し、食中毒を引き起こした事例もあります。魚を捌いた後はキッチン周りを洗って消毒をしておくようにします。
ポイント5:加熱すれば死滅するので加熱料理を楽しむ
魚に付着した腸炎ビブリオ菌は、加熱することで殺菌することができます。
ただし、簡単に熱湯をかけて湯引きしただけでは不十分で完全殺菌に至りません。煮魚、焼き魚をはじめ、しっかり芯まで熱が通る調理方法で食を楽しむというのも一案です。
リスクを知り美味しく安全に釣った魚を食べていこう
幸いにも私はまだ腸炎ビブリオと思われる食中毒で苦しんだ経験はありません。しかし普段から自分で釣った魚を刺身で食べている身としては、決して軽視できないことです。
釣りたての魚を自分調理し、しっかり熟成させた刺身は何よりの贅沢。腸炎ビブリオの存在を意識して魚の管理をしていればリスクは減らせますので、特に夏場は腐敗によるリスクと併せて魚の鮮度を管理していくようにしましょう。
最後に注意したいのは、腸炎ビブリオは魚にだけ付くものではなく、海水中に広く生息している菌です。海水に触れるだけでも菌が付着している可能性がありますので、釣りで使ったタオルや釣り道具はきっちり洗って、釣りの最中・後に食事を摂る際などは手を洗うか食べ物に直に触れないように気を付けていきましょう。